愛知県尾張旭市の松尾医院|内科、循環器科、小児科、皮膚科

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2009/04/15 割り箸事故死事件

医学界ではかなり議論になった1999年に発生した医療事故の裁判の高裁判決が出ました。やはり無罪判決でした。

今回判決が出たのは民事裁判で、刑事裁判では高裁で被告医師の無罪は昨年すでに確定しています。

4歳のお子さんが祭りで親が目を離したすきに転倒、持っていたわたがしの箸がのどの奥に刺さり、この割り箸が実は7cm以上脳内に刺さっていて、帰宅後に状態が急変、死亡した事件です。

この事件の不幸な事は親がそばにいなかったために箸がのどの奥に刺さったとはこの親も予想できなかったことです。

箸の先がのどの奥をついたと、診察した医師はだれでも思うでしょう。

さらに、このお子さんは脳内に異物が刺さっていたにもかかわらず、意識を失うことがなく、重症でないと判断されてしまったことです。

診察医は頭のCTスキャンを撮らずに帰宅させました。確かに撮るべきであったかもしれません。でもCTを撮って割り箸を確認できたとして救命できただろうかという事がこの診察医の過失判定になるのです。

これほど、重篤な脳内への異物刺入は、まず救命は無理であっただろうというのが、裁判所の判断です。

転倒の状況が親さえわからないのに、救急外来の医師にこの極めてまれな状況を予測しろというのは酷だという判断です。

お子さんを亡くされたご遺族の無念はわかりますが、この医師も刑事裁判、民事裁判と相当の苦労を長期間強いられてしまったんですよね。

ご遺族の方もネットで、クレーマー扱いの誹謗中傷を受けていますからかなり傷つかれたと思います。恥ずかしいのはこの手の書き込みを医師が積極的にしていた事です。

救急医療から医師の離脱を加速させた事件になった事は本当に残念です。

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