iPS細胞を移植したマウスの6割が癌になったというニュースが話題になりました。
もともとiPS細胞は、ヒトの皮膚細胞に4つの遺伝子を組み込みますが、ひとつはC-MYCという癌関連遺伝子なのでその影響でしょう。でもこの遺伝子を取り除くとちゃんとしたiPS細胞ができないそうなんです。
山中先生の偉いところは、このような不利なデータをきちんと公表するところです。
当たり前なのですが、意外にこのような研究ではデータを隠すこともあるんです。
少し前にES細胞に関する研究で韓国のデータが捏造であることがわかり、ES細胞自体の研究もしばらく進んでいなかったのですから。
今回のデータで、ヒトへの応用がかなり困難であることがわかったわけですが、組み込む癌遺伝子をコントロールする方法を発見することが急務となりました。
細胞の分裂、成長速度を早くするために癌遺伝子を利用するのは理にかなっているとは思いますが、逆に言えば癌細胞とiPS細胞が親戚のようなものですから危うい技術でもあるんですね。
しかし日本としてもめずらしくこの研究に70億円を支援することを表明していますから、アメリカに先を越されぬよう何とかがんばってほしいものです。