厚労省の発表では幼児の誤飲事故の1位は29年連続でたばこ誤飲でした。たばこを吸う人が減少しているためか、その割合は減っていますが、ずっと1位です。
たばこを半分~1本食べると幼児の致死量と習いましたが、死亡例の報告はないようです。ジュースやペットボトルを灰皿代わりにしたあと、幼児が誤飲すると猛毒のニコチンの吸収がはやいので中毒症状は起きやすいです。
僕が研修医で当直を始めたころは、幼児のたばこ誤飲はほとんど胃洗浄という処置をしていました。
これは幼児の鼻から管を入れて、そこからぬるま湯を胃の中に入れて胃を洗う処置です。かなり苦痛を伴いますから、母親も一緒に泣いたりします。
現在は胃洗浄はあまり意味がないのではという意見が強いですが、わざと、親の前で処置してみせしめのように行う医師もいたので、これにはたばこ嫌いの僕もその医師に腹がたったのを覚えています。幼児にはなんの罪もないのですから。
実はずっと2位の医薬品の誤飲のほうが僕はこわいと思っています。
たばこを吸う人は減っていますが、薬を飲まなければいけない人は増えているので薬の管理には気をつけてほしいと思います。どんな薬でも1錠飲めば幼児には過量となりますから大変危険です。
お孫さんが遊びに来たりする時に、普段飲んでいる薬を子供の手の届くところには絶対に置かないようにしましょう。