今日は注目されていた一つの事件の判決がでました。妊婦さんが、出産後に出血多量で亡くなってしまった事件です。
この妊婦さんは、不幸にも前置胎盤という合併症に、癒着胎盤を合併していた極めてまれな状態で、胎盤を剥離するときに大出血してしまいました。
医師が逮捕されるというニュースは僕もかなりショックを受けました。
状況を調べると、医療ミスと言われることがあったのかと疑問に思えました。逮捕というのは証拠隠滅や逃亡の恐れがあるときに執行されるものだと思うのですが、このときすでにカルテも保全されておおり、逮捕の不当性が指摘されました。
子宮をすぐに取ってしまえば助かったなどと検察は主張していましたが、子宮を安易に摘出することは医学の世界ではないのです。
胎盤剥離を完遂することで止血が期待されるので、それでも出血続けば子宮の摘出に移るというのが、産科医の常識であったことから今回の無罪判決は当然ではあると思います。
ただ遺族の方の気持ちになると、安全なはずの出産で亡くなってしまった事を受け入れられないことは十分理解できます。
加藤医師は謝っていますが、これは自分のミスを認めているのではなく、医師として全力を尽くしたが、残念な結果になって申し訳ないという気持ちからでしょう。こういう感情は普通の医師であれば持っているものです。