スモーカーズパラドックスという言葉があります。治療がうまくいけば喫煙者の心筋梗塞の方が、非喫煙者より予後がよい、つまりその後の経過がよいという意味です。
喫煙者の方に勇気と希望を与えてくれるような話ですね。
心筋梗塞は心臓の血管がつまる病気ですが、血管の動脈硬化で狭くなっている部分から発症するものや、あまり狭窄がなくても血管の痙攣がおき、巨大な血栓がつまることにより発症するものもあります。
なぜ喫煙者の経過がよいなどという現象が起こるのでしょうか?
この理由は簡単です。喫煙は血液をどろどろにし、血管を痙攣させます。動脈硬化で血管がぼろぼろになっていなくても喫煙だけで心筋梗塞を発症することがあります。
30代~50代の比較的若年の方に多いです。巨大な血栓が多く、血栓を溶かしたり吸引する治療により血管自体を広げる治療や、バイパス手術をしなくてよい場合が多いのです。
結局、長期的にみれば、喫煙は高血圧や、糖尿病などを引き起こしますが、喫煙者は若年発症が多いため、体力的にも乗り越えてしまいやすいのかもしれません。
若くして心筋梗塞を起こすなんてなんの得にもならないのです。先日の内科学会でもこれを題材に発表していた循環器の専門医がいたようでとてもがっかりしました。
マスコミがこれをおもしろおかしく報道したりしないことを祈ります。