臓器移植法改正案が、衆議院で可決されました。法律の制定には参議院での可決が必要なのでまだ先の話になります。
日本での臓器移植法では子供の臓器移植が禁止されており、このため、臓器移植が必要な小児は募金などで資金を作ってアメリカをはじめとする海外で臓器移植を受ける道しかありませんでした。
この改正案はもう3年前に出されていたものですが、棚上げされていたものです。
なぜ、今になって審議が始まったかというと、WHOが、臓器移植に使う臓器は自国でまかなうべきという勧告をだし、世界的に日本人の臓器移植患者のしめだしが始まったのです。
最近はアメリカでは保証金として3~4億円と法外な金を請求するようになっています。
医療界はもちろん、おおむねA案に賛成だったのですが、小児科学会は反対の立場でした。
一番の理由は脳死判定が複雑で、正確に判定できるのかということではないでしょか?ほとんど脳死判定の経験もないはずですし、心情的に脳死判定して臓器提供の話をするなんて耐えられない小児科医も多いような気がします。
ときどき、何年も植物状態の小児が突然意識が戻ったりすることがあります。
植物状態は脳幹という脳の基本部分が生きていて、脳死はそれが死んでいるという大きな違いがありますが、一般には混同されています。
ニュースで脳死と診断され1年以上生きていた小児を報道していましたが、脳死判定自体に問題があった可能性があると思います。脳死で1年以上の生存は理論上考えられません。
この法律が成立したとしても小児の移植症例がすぐ増えることはないように思います。