臓器移植が日本で進まない一番の理由は、確かに死生観が欧米と異なるという問題もありますが、40年ほど前の心臓移植事件が影響していると僕は考えます。
1968年、北海道で行われた心臓移植です。この移植は法整備ももちろんされていない状況で、和田医師という心臓外科医が移植を強行した事例です。
提供者(ドナー)は溺水の21歳、移植されたのは18歳高校生です。
和田先生は家族には亡くなったら心臓提供をと持ちかけておきながら、実際は脳死判定もあいまいなまま心臓を摘出、移植した疑惑があります。
心臓は止まってしまってからは移植できないからです。結局移植された高校生も移植後3ヶ月弱で死亡しており、日本で最初の心臓移植例としてはかなり後味の悪いものになりました。
僕は生まれたばかりで記憶にありませんが、かなりマスコミ報道され、和田先生に批判的な報道ばかりだったようです。
この事件で、医師は名声のために人の心臓を他人に移そうとするのではないかというイメージが国民に浸透してしまったと思います。
また外国に留学でもしないかぎり医師が十分な移植治療の知識も学んでいないため、医師の移植治療への理解も低いと思います。
医師で臓器移植カードをもっている人は実はほとんどいないのが現状です。さらに続く